安田理央のソクミルを掘れ!第1回 熟女

今やAVの中でも、最も人気の高いジャンルとなった「熟女・人妻」。ソクミルの人気ランキングを見ても、人気作品上位20作のうち、「熟女・人妻」ジャンルに分類される作品が、常に10作品以上も占めているのである。しかし、日本のAVでこれほどまでに熟女・人妻ジャンルが支持されるようになったのは、ここ十数年のことなのだ。

  • 安田理央のソクミルを掘れ!第2回 ロリ
  • 安田理央のソクミルを掘れ!第3回 V&R前編
  • 安田理央のソクミルを掘れ!第4回 V&R後編
  • 安田理央のソクミルを掘れ!第5回 村西とおる
  • 安田理央のソクミルを掘れ!第6回 ドラマ物

「熟女」はキワモノ?!

  • 奥さん、いいじゃないですか へるもんじゃないし

 AV黎明期である80年代には、熟女・人妻物をテーマにした作品は非常に少なかった。若い単体女優が若妻役を演じることはあっても、リアルな人妻や熟女が出演することは稀だったのだ。
最初の熟女ブームが起こったのは、90年初頭である。その先駆けとなった作品のひとつが、1988年に安達かおる監督が撮った「奥さん、いいじゃないですか へるもんじゃないし」(1988年 V&Rプランニング)だ。ドキュメンタリータッチで描かれた生活感あふれるリアルな人妻像は新鮮であり、大ヒットを記録した。

  • 老舗おふくろさんよ
  • 元祖熟女図鑑 特選!マダム倶楽部

 この流れは、芳賀栄太郎監督の「おふくろさんよ」シリーズ(ビッグモーカル)や、海山輝一監督の「マダム倶楽部」(ビッグモーカル)シリーズへと結実し、他のメーカーも次々と熟女・人妻物を撮り始めた。第一期熟女ブームの到来である。
ただし、この時期の熟女は、どちらかといえば「おばちゃん」的なニュアンスが強く、ショップでもSM物やニューハーフ物などと一緒に並べられるなど、マニアックなジャンルという位置づけだった。

美熟女★川奈まり子

  • 人妻昼顔 川奈まり子
  • 愛しの美人モデル 失楽旅情編

 それが大きく変化したのが1999年の「義母~まり子34歳」の登場だった。当時32歳だった川奈まり子を、溜池ゴロー監督は単体女優のように撮ったのである。それまで熟女物は、あくまでも企画物であり、川奈まり子も単独で出演することはなかったと言う。
「義母~まり子34歳」は1万本を超える大ヒットとなり、ここで「熟女=おばちゃん」ではなく「熟女=成熟したいい女」、すなわち美熟女という概念が生まれる。ちょうど、その時期に上品な美貌と大人の色気を持った牧原れい子の人気も高まっていた。
川奈まり子牧原れい子。この二人が第二期熟女ブーム、いや第一期美熟女ブームを産みだしたと言ってもいいだろう。

カリスマ熟女たちのデビュー

 00年代初頭には友田真希紫彩乃ら、カリスマ熟女とも言えるスター女優が次々デビューし、熟女人気を確固たるものにした。1997年に18歳でデビューしていた風間ゆみも、この頃は熟女女優として活躍していた。

00年代半ばになると、ロリ熟女なる新しいジャンルを開いた、 痴女からM女まで見事な演技力でこなす翔田千里、溜池ゴローが鳴り物入りでデビューさせた白石さゆり(現・北条麻紀)など様々なタイプの美熟女が登場。
さらに、つかもと友希(牧本千幸)菊池えりなど、かつてのAVアイドルが熟女としてカムバックする例も増えてきた。

若妻…の甘美な響き

 10年代に入ると、今度は「若妻」というキーワードが目につく様になった。2010年に当時22歳の浜崎りおが「夫より義父を愛して……。」(マドンナ)で、上司の息子と結婚した若妻を演じてヒット。以降、成瀬心美仁科百華といった人気企画女優が若妻物に出演することが増えていった。
さらに妃悠愛森ななこ神納花などのように、20代から人妻物中心に出演する女優も目立つようになる。

その一方で、センタービレッジRUBYグローバルメディアエンタテインメントといったメーカーでは、五十路六十路といった超熟女の人気も高い。
つまり現在の熟女・人妻は二十代後半から六十代までをカバーするジャンルなのだ。つまり、AVに出演できる女性の大半は「熟女」ということになるわけだ。

根強い人気・ドラマと熟女作品

 熟女・人妻というジャンルで面白いのは、ドラマ物が強いという点だ。現在、AVではSM物や凌辱物を除くと、ドラマ物は減少している。特に美少女単体物では、ドラマらしいドラマはほとんど姿を消してしまった。
しかし、熟女・人妻では、ドラマ物が大多数を占める。ユーザーの声でも、カラミ以上にドラマをきっちり作りこんで欲しいという声が多いという。
巨匠・ヘンリー塚本率いるFAプロや、男の見果てぬ妄想を映像化してくれるながえスタイル、ユニークな設定やタイトルが楽しいタカラ映像などは、ドラマとしても十分に楽しめる見応えのある作品ばかりだ。
熟女の魅力は、その熟した肉体の向こうに見える人生経験であり、そのためにはドラマ性が必要なのだという見方もあるが、筆者はここにAVユーザーの原点回帰志向を感じるのだ。

 熟女AVユーザーは、やはり年齢層は高めである。そんな彼らが慣れ親しんだ80年代、90年代のAVはドラマ物が主流だったのだ。現在の実用本位でカラミばかりを詰め込んだようなAVはどうも肌に合わない。
やはりAVにはドラマが必要だ。そう感じているベテランユーザーが、熟女・人妻物に多いのではないだろうか。
熟女・人妻物には、古きよき時代のAVの匂いがするのだ。

安田理央

1967年生まれ 埼玉県出身
美学校考現学研究室卒業。雑誌編集プロダクション勤務、コピーライター業を経て1994年よりアダルト系フリーライターとして独立。80年代よりアダルト業界に関わり、現場でその変化に立ち会ってきた。好きなAVのジャンルは羞恥モノ
公式ブログはこちら»